白石顕治の赤裸々風俗考 ①家出の先に見たものは

 女に騙され、ネカマに貢ぎ、風俗嬢に恋をする。そんな漢の心の内に自ら向き合い、或いは薬にも毒にもならない駄文をお届けするエッセイ。

池袋といえば、ナウでヤングな若者の集う街。他にも最近はマニアックな中華料理が食べられたり、最新の流行が集まる東京きっての商業都市。
その地名を聞くといつも思い出すのが、初めて行ったピンクサロン(ピンサロ)と、そこで出会った熱心な嬢との交流だ。

思い返せばその日、私は何もかもが嫌になり、友達の家に転がり込んだことを覚えている。その友達は以前に風俗に行って、その良さに取り憑かれてしまった。
「どうせきたんだし行こうぜ、五反田。」地名がもっといい地名であれば友人を励ます青春映画の一幕だが、結局このB級コメディみたいな発言に促された私は、この後風俗にハマるとも知らずに出掛けたのだった。

結局、着いたのは五反田じゃなくて池袋。どうやら池袋の方が女の子の質が良いらしい。後で知ったのだが、この時入った店はAKB系列のアイドルが働いてたこともある店だという。

「ア...アノ.リ-ドシテクレルコガ...」性に塗れた雀の声はボーイさんの耳に届き、ちゃんとリードしてくれる女の子に当たった。言ってみるもんですね。

肝心のプレイはまあ色んな風俗通ったからあんまり記憶にないが、今でも覚えているのはその時に初めてディープキスをしたことだ。人生初のキスが風俗嬢ってのは、まあ私の人生を表しているようで実に洒落が効きすぎた。
帰り道、友達に興奮しながら今日の体験を捲し立て、その子も「ええやろ」と言ってくれた。因みにこの時友達も風俗に行ったがその金は俺が貸した。早く返してくれ。

「ファーストキスは蜜の味」なんて世間では言うけれど、私にとってその味は、人工甘味料のような偽りの甘さがした。そんなことを考えつつ、家出した実家に向かう鉄路に揺られていた──

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