[白石顕治という時代]桂事務局長退任─長い航海の果てに─

 桂事務局長が退任した。正確にはメディアに転身するらしいが、表舞台からは退いた形だ。
 彼の空想国会での働きは常に裏方で、事務的で、そして暗躍していた。かつて彼は二階幹事長が自分のようなものであるとしていたが、まさにそのような人だった。
 そして私たちは互いに不正に手を染め、一度空想国会を追放され、到底表沙汰にはできない手段で復帰し、その後も選挙結果の改ざんや複垢議員で構成される事務局など、空想国会の根幹を揺るがすような悪事をしており、あるいは黙認した。
 これらは私がすでに記した文書が公開されたことにより、その些細を知っている人も多いだろう。あの内容のほとんどは紛れもない真実であり(実は複垢議員の内訳について少し間違いがあった)、その点では今までその事実を償うことなく、政界に残り続けた桂氏は厳しく非難されなければならない。
 しかし一方で、桂氏は空想国会の発展に寄与したことも記しておきたい。確かに私と同様許されないことをしていたが、それでもあの時代は今よりも激動で、そして面白かった。そして何より、私にとって苦楽を共にした最良のパートナーだった。
 かつての2月政変を知るものは殆ど消え、遂にその首謀者の1人であった彼も引退する。彼の功罪もこれからは歴史として扱われ、歴史が判断する。
 私は現時点で、彼を裁く動きがあるのかどうかはわからない。しかし今までの悪が公表され、自ら退く判断をした彼をこれ以上誰が責めようか。彼もまた私と同じく空想国会を良くも悪くも盛り上げ、今に続く土台を作った功労者であることに変わりはない。
 かつて空想国会を作ってきた私の願いは、我々の長い航海についに終止符を打たんとしている彼の退任を見送り、これからを生きる者が、彼の望む余生を赦すことにある。それでこそ、不正から決別する空想国会の新たな姿であり、共存共栄の空想国会なのだから。
──2023年元旦 白石顕治

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